おいしい水、きれいな水の恩恵を受け続けるには、自然の循環とバランスを重んじることが大切です。 水は雲から雨となって大地に降り注ぎ、地上で川の流れを作って海に注ぎ、水蒸気となって再び大気へ戻り 雲となります。
「おいしい水」が飲みたい。 「きれいな水」を使いたい。
こうした思いは、誰にでもあるでしょう。この本の目的のひとつは、あ なたが「おいしい水」を飲み、「きれいな水」を使うにはどうしたらよい かをお伝えすることです。
しかし、「おいしい水」「きれいな水」が、数年後に、いまほど簡単に手 に入らなくなるとしたらどうでしょう。これは、とても心配なことだと思 います。
そこで、このサイトのもうひとつの大きな目的は、あなただけではなく、あ なたのお子さんやお孫さんの世代に、「おいしい水」「きれいな水」を伝え ることです。つまり、「おいしい水」をすっと飲む方法、「きれいな水」を ずっと使う方法を紹介していきます。
このサイトでは、以下の5つのことをお話ししていきます。
- 「おいしい水」「きれいな水」とは、本当はどんな水か?
- 私たちは「おいしい水」「きれいな水」をどう使っているのか?
- 「おいしい水」「きれいな水」を次の世代に伝えるには?
- 水の「もったいない」(節水、水の再利用、再生利用)は、具体的にどうしたらできるか?
- 環境インパクトの少ない水利用とはどんなものか?
日本は水の国です。「おいしい水」「きれいな水」が豊富にある国です。 私はこれまで世界各地を歩いてきましたが、これほど水に恵まれた国はほ とんどありません。だから、日本に住む私たちは水の大切さに気づきにく いのです。
21世紀は「水の世紀」だといわれています。それだけ、世界中で水が 中州こなるということです。世界各地では、すでに、さまざまな水の問題 が発生しています。これは次の4つにまとめることができます。
ひとつは、水の不足です。人口の急増や産業の急激な発展によって水不 足が深刻になっています。現在、主にアジア、アフリカなどで30数か国 が水不足に苦しんでいます。
2つ目は、生活排水、農業排水、工業排水による水の汚染です。とく に、下水道などの衛生設備が整っていない発展途上国では、水の汚染が顕 著です。
3つ目は、地下水の枯渇です。水を求めて大量の地下水がくみ上げら れ、そのため地下水が枯れたり、地盤沈下が発生したりしています。
4つ目は、地球温暖化による水循環の変化です。気温が上がると水の循 環が早くなり、早く蒸発し、雨となって降ってきます。そうなると水循環 のバランスが崩れます。水が少ない場所では渇水となり、水の多い場所で は洪水になります。
水に恵まれた日本では、こうした問題を深刻に感じることはないでしょ う。ですが、水の汚染や地下水の枯渇は日本でも起きています。もちろ ん、地球温暖化とも無縁ではありません。さらに、日本は世界中の水を買 い集めている国です。日本は世界一の食糧輸人国です。食料となる野菜や 家畜を育てるためには、大量の水が必要です。つまり、日本は世界一の水 輸入国なのです。
「おいしい水」「きれいな水」の恩恵を受け続けるには、自然の循環とバ ランスを重んじることが大切です。水は雲から雨となって大地に降り注 ぎ、地上で川の流れを作って海に注ぎ、水蒸気となって再び大気へ戻り、 雲となります。
私たちが利用する水もその循環の中にあり、排水口から流れていった水 は長い旅をして、いつしか自分たちのもとに再び戻ってきます。私たちが 智慧を使い、環境へのインパクトを少なくすることによって、永遠にその 恩恵にあずかることも可能でしょう。
私たちは日本の水を「もったいない」という目で見直し、活用法を考え る必要があります。このサイトによってそのお手伝いが少しでもできれば、こ れはどうれしいことはありません。
ミネラルウォーターは地球にやさしいか?
リサイクルは十分か?
ボトル水利用が進めば進むほど空のペットボトルが出るわけですから、きちんとリサイクルされているかどうかは気になるところです。
PETボトルリサイクル推進協議会は、ペット樹脂生産量が約51万トン、そのうち市町村回収量が約24万トン、事業系回収量が約8万トンで、市町村回収率46.4%、事業系と合わせた全回収率は62.3%と発表しています。しかし、再生量に関する明確なデータは発表されていません。
そうしたなか、中部大学の武田邦彦教授は、ペットボトルの再利用は3万トンと推定しています。これは、PETボトルリサイクル推進協議会が公表するペットボトルのフレーク(粉砕した端材)の販売量、約15万トン(2004年度)をもとに、「商品化までの材料ロス」「海外輸出量」などを差し引いて推定した数字です。
2007年、米国サンフランシスコでは、ギャヴィン・ニューサム市長が市役所内と市関連施設で、ボトル水を提供する予算をカットしました。
同市長は声明で、ペットボトルの製造や輸送、廃棄が、それぞれの段階で環境に大きな負荷をかけていることを指摘しました。廃棄にあたっては、毎年、10億本以上が埋め立てられているとして、これを減らす努力が必要だと述ぺています。
水筒を見直そう
そうした一方で、水筒を利用する人が増えています。日本では、古くから飲料の容器として竹筒やひょうたんなどが用いられてきました。
戦後は、プラスチックやステンレス製が広がり、保温・保冷機能も向上し、最近は、ふたをコップ代わりにせす、ペットボトルのように飲み口から直接飲むタイプが増えています。水筒を利用することで、環境インパクトの少ない水利用ができます。