水道水

家庭用の緩速ろ過装置を作ろう

手作り浄水場で100人分の水をまかなう

緩速ろ過の浄水場は、コミュニティで手軽に作ることができます。滋賀県北部のある別荘団地では、住民が独自に浄水施設を作り、給水していま
す。その方法は以下のとおりです。

  1. 渓流をせき止め、穴あきパイプを埋設して取水する
  2. その水を砂利を詰めた「粗ろ過槽」に通し、大きな汚れや濁りを取る
  3. 独自に工夫した「フェルト」十「砂ろ過槽」の緩速ろ過槽で浄水

フェルトを敷く独自の工夫が必要なのは、穴あきパイプから取水すると、どうしても大量の濁りや汚れが入り、粗ろ過標だけでは取りきれないからです。

汚れが砂ろ過槽に入ると、管理(砂の洗浄)が大変です。そこで、フェルトを砂ろ過槽の上に敷き、細かな濁りを取り除くようにします。なお、フェルトは定期的に取り外して洗浄します。

このシステムできれいな飲み水ができ、約100人分の水道需要をまかなっています。前処理にも、ろ過後にもいっさい塩素など薬品を添加して
いません。給水人口が100人以下である水道には水道法は適用されないので、こうした独自の浄水方法ができます。今後、人口の少ない地域では、こうした方法で独自に小規模水道を作るケースが増えるでしょう。

プランターやポリタンクでも浄水できる

緩速ろ過の基本は、濁りが少ない水(いったん粗ろ過槽を通した水)を、ゆっくりと砂ろ過槽に流すことです。この基本さえ守れば、身の回りにある材料を使って家庭にミニ浄水場を作ることができます。

たとえば、プランターや生ゴミ用ポリタンクを使い、家庭で簡単に緩速ろ過装置を作ることができます。

この方法は、緩速ろ過研究の第一人者である信州大学の中本信忠教授がHPで紹介しています。日曜大工レベルで簡単かつ短時間で作ることができるので、災害時にも役に立つでしょう。


お金をかけずに水道水をおいしい水にする方法

煮沸と活性炭でおいしくする

水道水の評判を落としている最も大きな理由は塩素の臭いでしょう。しかし、この対策は意外と簡単です。

ます、やかんに水を入れて2~3分程度沸騰させると、塩素が揮発するので嫌な臭いがなくなります。ただし、トリハロメタンも取り除くには、10分程度煮沸する必要があります。

おいしいお茶を入れるには、この方法が向いています。沸かしたお湯を適温まで冷まして使うと、お茶のうまみを引き出すことができます。市販
されている電気ポットの「カルキ抜き機能」を使うのも有効です。

活性炭でおいしく

活性炭の表面には肉眼では見えない小さなすき問があり、そこにさまざまなものを取り込む性質があります。活性炭を水道水に入れると、活性炭の吸着力によって水道水中の汚れや塩素の臭い、トリハロメタンを取り除くことができます。

活性炭は市販のものがなければ冷蔵庫の脱臭剤を再利用してもOKです(芳香剤など活性炭以外のものが使われているものは不可)。

ます最初に脱臭剤の外ケースをはずし、活性炭を取り出してアルミホイルに乗せ、オーブントースターかフライパンで10分ほど焼きます。

焼き終わって活性炭に吸着した臭いが取れたら、ガーゼなどの袋(ダシパック)に入れ、黒い粉が出ないようにもみ洗いします。くみ置きした水
にこの活性炭を入れ、一晩置きます。

水から出した活性炭は水気を切っておくか、袋ごと水を張った密閉容器に入れて冷蔵庫で保管します。夏の時期は雑菌が発生しやすいので、週に一度は活性炭ガーゼの袋ごと10分間煮沸します。 しばらく使っていると活性炭の吸着力が弱くなりますが、1か月に一度、フライパンで焼けば再生するので、半永久的に使えます。 


手軽に水道水の臭いをなくす方法

朝イチ1分間の水は掃除や植木の水やり用に

新築の住宅やマンションの水道水は、プラスチックの臭いがすることがあります。現在使用されている水道管は、鋼管の内側がビニールコーティ
ングされています。朝一番の水道水は一晩、水道管の中に滞留していた水なので、ビニールの臭いがついてしまっているのです。

また、古い家の場合は、水道管内の鉄さびによって、水道水の中に赤さびが混ざったり、鉄くさい水が出たりすることがあります。

マンションでも貯水槽や、貯水槽から各家庭の蛇□まで続く水道管の不良が原因で同様の症状が出ることがあります。

このような場合、朝一番の水は飲まないほうが安心で、1分間くらい出しっ放しにすると、臭いのない水が出るようになります。

1分間流した水は、バケツなどにいったんくみ置き、掃除や植木の水やりなどに使うとよいでしょう。 1分間出しっ放しにすると、12Lの水が
出ます。家庭用のトタンバケツ(6L)なら2杯分です。

日光やレモンの力で塩素臭をなくす

水道水をペットボトルに入れて30分~1時間ほど日光に当てます。すると紫外線が塩素を分解し、塩素具のない水になります。これは金魚を飼うときに、水道水を日光に当て、塩素を揮発させてから使うのと同じ理屈です。日光に当て終わったら、冷蔵庫で保管しましょう。

また、くんだ水にレモンを搾ってもよいでしょう。レモンに含まれるビタミンCには還元作用があるため、酸化作用のある残留塩素と反応して分
解することができます。

レモン以外でも、ビタミンCが含まれている食品であれば、同様に残留塩素を除去できます。喫茶店でレモン水が出てくることがありますが、こ
れは残留塩素を除去する効果と、レモンの風味で水に爽|失感を与える効果の2つを同時に狙ったものです。


パックテストで身近な水を検査しよう

調合された試薬でお手軽検査

家庭の水道水や水源の川など、身近な水を測定してみましょう。簡単なのは「パックテスト」を使う方法です。ポリエチレンチューブの中に調合
された試薬が入っています。チューブに調ぺたい水を吸い込むと、水に色がつくので、標準色と比較しながら、どんな水かを読み取ります。

パックテストで測定できる主な事柄

りん酸

肥料、工業排水、生活排水に含まれているので、水がどのくらい汚れているかがわかります。植物の成長にも欠かせないものですが、通常は微量です。

COD(Chemical oxygen Demand:化学的酸素消費量)

水の中に含まれている汚れくおもに有機物の汚れ>(水中の酸素を消費してしまう物質の量)をおおまかに数値化したものです。

pH(ペーハー)値

pH7が中性、pH7より小さな数値(pH0~7)が酸性、pH7より大きな数値(pH7~14)がアルカリ性です。

残留塩素

塩素が含まれていると、特有のカルキ臭があり、水はますくなります。また、配管をさびさせ、トリハロメタンなどの生成の原因にもなります。日本の水道水は、塩素消毒が法律によって義務づけられているため、すぺての水道水から塩素が検出されます。

水道水から鉄が検出される場合は、配管の鉄が溶けている可能性があります。自然水の場合は、鉱山からの排水や、地質的影響が考えられます。鉄の値が高いと金属臭があり、洗濯すると衣類に赤い色がつきます。


どうする濁り水対策とは

水道鋼管や貯水槽水道に原因?

水道水の濁りや臭いの原因は、原水や浄水方法にあるとは限りません。水道管や貯水槽に原因があるケースもあります。

水道の鋼管は、数年使用すると、内部にきびがでます。さびは酸化鉄で赤色です。これが管内にたまった水とともに出てくると、褐色や赤色にな
り、ときには砂のようなさび粒が出てくることもあります。赤水は管内に水が長時間滞留していると生じやすくなります。とくに朝一番の水で起こ
りやすい現象です。いつも赤い水が出る場合には、水道管の取り替えが必要になります。

ビルやマンションでは、水道水をいったん受水層にため、これをポンプで屋上などにある高架水槽にくみ上げてから各家庭に給水している場合が
あります。この受水槽から各家庭の蛇□までの施設全体を「貯水槽水道」といいます。

2003(平成13)年の水道法改正で、貯水槽水道の管理は設置者(管理者)の責任で行なうことになりました。しかし、小規模貯水槽水道にな
ると、管理がおろそかになっていることが多々あります。水槽中に鉄さびや水垢がたまったり、ときには雨水やゴミ、鳥のフン、昆虫などが混入す
るような事例も発生しています。こうしたことが、水の濁りや臭いになることがあります。

黒水の正体は酸化マンガン?

赤水のほかに黒や白の水が出ることもあります。黒水は、水の流れが変化したことによって、水道管にたまっていた「酸化マンガン」という物質
が流れ出たものと考えられます。

また、白水は湯沸器や水道管に使われている亜鉛メッキ鋼管や黄銅部、防錆塗料から亜鉛が溶け出て白く濁った可能性があります。

色付き水の原因と対策にはさまざまな方法があります。


水道水の安全性はどう確保されている?

2004年に水質基準が大幅改正

水質基準は、厚生労働省により定められています。水質基準は水環境の変化にともない、その都度見直されています。たとえば現在の水質基準は2004年に改正されたものです。

前回の改正(1992年)から十数年が経過するうちに、以下のような問題が起きていました。

  1. 消毒副生成物に関しては、トリハロメタン類以外にも八口酢酸等の問題や、新たな化学物質による問題
  2. クリプトスポリジウム等の耐塩素性病原性微生物の問題
  3. WHO(世界保健機関)においても、飲料水水質ガイドラインを10年ぶりに全面的に改定すぺく作業が進められていた
  4. 規制改革や公益法入改革の流れのなか、水質検査についての見直しなど、水道水質管理の分野においても、より合理的かつ効率的なあり方を検討すぺきことが求められていた

3.の「WHOの飲料水水質ガイドライン」とは、各国が飲料水の安全基準を策定する際の基礎資料として、世界保健機関(WHO)が勧告した
料水
の目標水質のことです。発ガン|生物質などの汚染物質ごとに個別の基準値があり、体重60kgの成人が、1日2Lを生涯(70年間)飲用して
も影響が出ない濃度に設定されています。

大腸菌、全有機炭素、アルミニウムなど13項目が追加

2004年改正では、旧水質基準46項目のうち、有機物(過マンガン酸カリウム消費量)など9項目が除外され、有機物(全有機炭素)、アルミ
ニウムなど13項目を追加し、50項目となっています。

また、水質基準を補完する項目として設定されていた「快適水質項目」や、「監視項目」を廃止し、「水質管理目標設定項目」(27項目)、「要検討
項目」(40項目)が導入されました。


飲んでいる水道水は1級水?それとも2級水?

原水が汚れるとまずい水道水になる

水道の味は、原水の質とろ過方法によって決まります。同じ川の水を原水として利用していても、源流近くと下流では味が変わります。

源流近くでは原水が汚れておらす、水道水はわずかに塩素消毒するだけで済むのでおいしく飲めます。ところが、下流にいくほど家庭から出る生活排水などが(処理されているとはいえ)、原水に混じります。すると貯水池や川に藻が発生し、カビ臭の原因になります。

また、消毒用の塩素の量も増えます。塩素はアンモニア窒素と結合し、クロラミンという物質を作ります。これがカルキ臭の原因です。

こうして、カルキ臭、カビ臭のする水道水になります。

「おいしい水道水」とはどんな水?

「水の博士」として多数の著書のある小島貞男氏は、水道水を「特級水」「1級水(上・下)」「2級水」「3級水」の4段階に分けています。

一番おいしいとランク付けした「特級水」は、湧き水や良質の地下水を軽く塩素消毒しただけの水道水です。

次においしい「1級水」は「上」と「下」の2段階に分かれます。「上」は、汚染されない上流の河川水や湖沼水、伏流水を原水とし、緩速ろ過法で作った水です。「下」は、原水は「上」と同様ですが、薬品による急速ろ過法によって作った水です。

その次の「2級水」は、汚染された下流の河川水や、富栄養化した湖沼水を緩速ろ過法によって浄化した水です。 

最後の「3級水」は、汚染された下流の河川水や、富栄養化した湖沼水を急速ろ過法によって精製した水です。

現在は高度浄水処理も加わっているので、この4ランクをそのまま当てはめることはできませんが、良質の原水をわすかに塩素消毒した水、ある
いは緩速ろ過で作った水が「おいしい水道水」だといえます。


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