ミネラルウォーター

ミネラルウォーターは地球にやさしいか?

リサイクルは十分か?

ボトル水利用が進めば進むほど空のペットボトルが出るわけですから、きちんとリサイクルされているかどうかは気になるところです。

PETボトルリサイクル推進協議会は、ペット樹脂生産量が約51万トン、そのうち市町村回収量が約24万トン、事業系回収量が約8万トンで、市町村回収率46.4%、事業系と合わせた全回収率は62.3%と発表しています。しかし、再生量に関する明確なデータは発表されていません。

そうしたなか、中部大学の武田邦彦教授は、ペットボトルの再利用は3万トンと推定しています。これは、PETボトルリサイクル推進協議会が公表するペットボトルのフレーク(粉砕した端材)の販売量、約15万トン(2004年度)をもとに、「商品化までの材料ロス」「海外輸出量」などを差し引いて推定した数字です。

2007年、米国サンフランシスコでは、ギャヴィン・ニューサム市長が市役所内と市関連施設で、ボトル水を提供する予算をカットしました。

同市長は声明で、ペットボトルの製造や輸送、廃棄が、それぞれの段階で環境に大きな負荷をかけていることを指摘しました。廃棄にあたっては、毎年、10億本以上が埋め立てられているとして、これを減らす努力が必要だと述ぺています。

水筒を見直そう

そうした一方で、水筒を利用する人が増えています。日本では、古くから飲料の容器として竹筒やひょうたんなどが用いられてきました。

戦後は、プラスチックやステンレス製が広がり、保温・保冷機能も向上し、最近は、ふたをコップ代わりにせす、ペットボトルのように飲み口から直接飲むタイプが増えています。水筒を利用することで、環境インパクトの少ない水利用ができます。


安易にボトル水を買う前に考えてほしいこと

企業が水源を奪い合う

ミネラルウォーターなどボトル水の生産量が右肩上がりで伸びています。ボトル水市場は、世界的にも急成長。その背景には地球レベルの淡水不足、汚染の進行があります。

メーカーは、需要に応えるために新しい水源を探し、世界各地で水利権を買っては、タンカーで輸送します。農村地域に入り、井戸を得るために農地を買い上げ、水源が枯渇したらほかの土地に移動します。

企業による水源買収が大々的に行なわれているのは、近い将来、水が莫大なカネを生むと考えられているからです。

国連は、人口増加や水質汚染によって今世紀半ばには、最多で60か国の70億人、最少でも48か国の20億人が水不足に直面するとみています。水危機が進行すれば、水の価値は高まります。

 


自治体の水商売のねらいは?

「東京水」は高度浄水処理された水道水

水道水をペットボトルに詰めて売り出す自治体が増えています。

東京都は、2004(平成16)年から「東京水」の販売を始めました。東京都は1992年からオゾンや生物活性炭を使い、カビ臭やアンモニア臭などを除去する「高度浄水処理」を導入しました。しかし、水質向上が十分浸透せす、その後も「水道水はまずい」と言われ続けたため、ボトルに詰めてPRすることにしました。消費者の反応は、「おいしい」「ミネラルウォーターと変わらない」と上々で、2006年度は前年度より2万8000本多い、4万3000本を売り上げました。

大阪市は、高度浄水処理している水道水をボトル詰めした「ぴゅあウォーター」をイベントなどで無償配布しました。こちらも「市販のミネラルウォーターと遜色ない」と好評です。

ただし、「東京水」にも「ぴゅあウォーター」にも塩素は入っていません。「ボトル水は動く蛇口」などと言う人がいますが、蛇口から出る水道水には塩素が入っていることが義務づけられているので、厳密にいえば違います。味がよいのも当然のことかもしれません。

 


徹底した品質管理のなか取水地でボトリング

ヨーロッパでは取水地でのボトリングが当たり前

“Bottling at the Source”(ボトリング・アット・ザ・ソース)という言葉があります。これは取水地でボトリングを行なうという意味で、ヨーロッパでは当然の基準とされています(日本ではそうでないメーカーもあります)。

ミネラルウォーターエ場は汚染から保護され、生産もEUの厳しい基準に則して行なわれ、徹底した品質管理がなされています。

以下に製造までの工程を見てみましょう。

 


ミネラルウォーターの原水と殺菌方法の種類

地下水は最も飲み水にふさわしい

市販されているミネラルウォーターは、ミネラル量に差があっても「特定水源より採水された地下水」であることには変わりません。地下水は地球上に存在する水の中で、最も飲み水にふさわしいものです。

なぜなら、地下水は雨が大地によってろ過されてできた水だからです。雨水は地層という天然のフィルターによって不純物が取り除かれ、代わりに地層の中のさまざまなミネラル分を受け取って、生命を育むのに適した水となります。

原水となる地下水には以下のような種類があります。

  1. 温泉水…自噴する水温が25℃以上の地下水、または、温泉法に規定される溶存物質等により特徴づけられる地下水のうち飲用に適するもの
  2. 鉱泉水…自噴する水温が25℃以下の地下水、または、温泉法に規定される溶存物質等により特徴づけられる地下水のうち飲用に適するもの
  3. 鉱水…ポンプ等で取水した地下水のうち、溶存物質等により特徴づけられる地下水

ほかにも湧水(自噴している地下水)、深井戸水(深井戸から取水した地下水)、浅井戸水(浅井戸から取水した地下水)、伏流水(上下を不透水層に挟まれた透水層が河川と交わるときに透水層内に生じる流水)などが原水として使われます。

 


ナチュラルミネラルウォーターは殺菌せすに飲める安全な水

水の中の生態系を守るために殺菌しない

日本のミネラルウォーターは殺菌が義務づけられていますが、ヨーロッパの「ナチュラルミネラルウォーター」は、いかなる殺菌処理も禁じ、その代わりにボトルの中の水に含まれる生菌の数を厳しく制限しています。

そもそも殺菌の必要な水は審査で選ばれませんが、それでも殺菌処理を禁止するのは、「水の中の生態系」を守るためです。

地下水の中にはごく微量の細菌がいて、水の中での生態系を確立しています。そこに外部から雑菌が入ると、もともといる菌によって排除されます。これを「桔抗作用」といいます。

水の中にもともといた菌を殺菌してしまうと、生態系を確立していた菌も死んでしまうので、措抗作用も起こりません。すると、外部から侵入した雑菌にあっという間に占領されてしまうのです。

日本では「殺菌されているから安心」という考え方ですが、ヨーロッパでは「殺菌しなくても飲める安全な水」と考えられています。規定は、厳しい基準で設定され、第1条から17条までの通達と、3種類の添付書類で構成されています。

厳しい採水地周辺の環境保全

もうひとつ、日本と大きく異なることが、水源周辺の環境保護を義務づけていることです。水の性質は、湧き出す環境によって決まります。大地が雨水をミネラルウォーターに変えていくのですから、その地層は保全されていなければなりません。

フランスでは一採水地一銘柄と定められ、ミネラルウォーターの多くは土地の名前を冠しています。そのため、それぞれの町や村が名誉をかけて水源保護に取り組んでいます。

ヴィッテルの場合、水源の周囲6500ヘクタールを保護区に指定し、地上に建物を立てたり、地下を掘ったりすることを禁止しています。また、保護区内の農薬や化学肥料の使用も禁止されています。


日本のミネラルウォーターは単なる「ボトル水」?

日本のミネラルウォーターの基準はあいまい

そもそも、ミネラルウォーターとはどんな水なのでしょうか。たとえば水道水と比ぺても、色は無色透明ですし、最近では、味もさほど変わらないような気もします。

消費者にとっては、目の前にある無色透明の液体の正体は、成分分析でもしないかぎりわからないのが実情です。ミネラルウォーターの品質は、すべて提供者にかかっているといえます。

1990年に農林水産省が「ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン」を発表しています。

これによると、日本のミネラルウォーター類は、「ナチュラルウォーター」「ナチュラルミネラルウォーター」「ミネラルウォーター」「ボトルドウォーター」の4種類に分けられています。

気になるのは、このガイドラインにはミネラルの量についての基準が明記されていない点です。つまり、本当の意味でミネラルウォーターと呼ぺるものは、ナチュラルミネラルウォーターだけです。

 


ミネラルウォーターを用途別に飲み分ける

飲用には硬水、料理用には軟水

ミネラルウォーターの国内市場の伸びは、日本人の水に対する考え方が変わったことが大きな理由です。「水分補給ができればどんな水でもよい」という時代から、用途に応じて水を選択するようになっています。

2006年、サントリーが首都圏に住む男女500人を対象に行なった調査では、「水を飲むことが美容によい」と答えた人が78.2%、女性に限ると87.2%に上りました。こうした人に飲料用に人気があるのが、カルシウムやマグネシウムなどを多く含む「硬水」です。マグネシウムには顔や手足のむくみを解消し、便秘を和らげる効果があるとされています。

一方、国産の軟水は料理用にまとめ買いされるケースが増えています。

発泡水も少しずつ伸びています。ミネラルウォ一ターにはガス入り(発泡水)タイプと、ノンガスタイブがあります。ヨーロッパでは、発泡水が飲料水として定着し、テーブルウォーターはもちろん、ワインを割る水としても活用されています。

日本で飲まれているものは、ほとんどがノンガスタイプでしたが、最近では疲労回復、リフレッシュ目的で、発泡水を飲む人が増えています。今後は、コーラなどの炭酸飲料とシェア争いをするようになるでしょう。

 


日本初のミネラルウォーターは天然炭酸水

最初はクスリ?

日本ではじめてボトル詰めの「ミネラルウォーター」が販売されたのは、明治時代のことです。

国産第1号は発泡性でした。 1880 (明治13)年、当時発行されていた「東京絵入り新聞」に「山城炭酸水」という商品の広告が載っています。販売価格は1本20銭。ビール大ビン14銭、日本酒1升14銭、キツネうどん1銭という時代にあって、かなり高額なのにもかかわらず、わりと売れたようです。

1884年(明治17年)には、兵庫県平野から湧き出る自然の炭酸水を、明治屋が「三ツ矢平野水」として売り出しました。これが後に「三ツ矢サイダー」となりました。1890年には、六甲の麓に湧き出る炭酸を含んだ鉱泉水「ウィルキンソン炭酸水」が発売されました。

明治時代に発泡性の水が売れたのは、当時、大流行したコレラの予防に発泡性の水が効くと考えられていたこともあります。

 


ミネラルウォーターの生産量は20年で30倍近くに増加

生産量は20年で28、6倍に

ミネラルウォーターが売れています。日本ミネラルウォーター協会の調査によると、ミネラルウォーター(ボトル水)の生産量は、1986年には8万2179キロリットル (国産8万1000キロリットル 輸入1179キロリットル でしたが、2006年には235万341キロリットル(国産180万850キロリットル、輸入55万259キロリットル)と、20年で28.6倍になっています。

2006年の年間消費量は1人あたり16.4Lで、前年より30%増、20年前と比ぺると、23倍になっています。

1983年にハウス食品が「六甲のおいしい水」を発売したのを契機に拡大を始めた国内のミネラルウォーター市場は、1999年に、Y2K問題対策で消費量100万キロリットルを突破、その後の伸びは前述のとおりです。

飲料水として定着し、清涼飲料に占めるシェアは10%に達し、スポーツドリンクやウーロン茶を追い越しています。コンビニや量販店では、ミネラルウォーターの売り場面積は拡大し続けてきました。水の通販や宅配という新しい販売チャネルも根付いています。

 


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